タンクレストイレは買いか!?メリット・デメリットを比較

タンクレストイレは、新築、トイレリフォームのいずれでも、人気があります。そして、各トイレメーカーもタンクレストイレを積極的に押しています。TOTO ネオレスト(ビッグベンとリトルベン)やパナソニック アラウーノのテレビCMを見かけた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

デザインや清掃性など、良い所だけがクローズアップされがちなタンクレストイレですが、水圧・停電対応などの注意点もあります。このページでは、タンクレストイレのメリット・デメリットや、TOTO・LIXIL(INAX)・パナソニック各社の機種比較を公開しています。高い買い物になりますし、10年20年と長く使うものですので、慌てず、納得いくまでじっくりと検討されることをお勧めします。

タンクレストイレとは

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TOTOのタンクレストイレ「ネオレスト」(画像出典:TOTO

タンクレストイレは、洗浄のための水を貯めておくタンク(ロータンク)が無い、水道直結方式のトイレのことです。ロータンクが無いので、一般的なタンク式のトイレと比べると、圧迫感のない、すっきりとしたデザインとなります。

国内初のタンクレストイレは、TOTOが1993年に発売した「ネオレストEX」です。1988年にTOTO社内で、過去に無く高機能でデザインを意識した便器を作る「The便器プロジェクト」がスタートし、5年の開発期間を経て、タンクを取り払ったネオレストEXが発売されました。

それから8年後の2001年に、LIXIL(INAX)が省スペース化やプラズマクラスターイオンを搭載した「satis(サティス)」を発売。

その5年後の2006年に、陶器ではない有機ガラス系新素材の便器で業界を驚かせた「アラウーノ」をパナソニックが発売。

最近の商品のようなイメージもありますが、タンクレストイレの歴史は意外と長いです。

それでは、タンクレストイレのメリットとデメリットを見ていきましょう。

タンクレストイレのメリット

洗練されたデザイン

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LIXILのタンクレストイレ『サティス』(画像出典:LIXIL

タンクレストイレの魅力は、何と言っても洗練されたデザインにあります。一般的なトイレは、便器の後ろにタンクがあるため、トイレ室内が狭いと圧迫感を感じることもあるのですが、タンクレストイレの場合はタンクが無いので、フォルムがすっきりとしていて、圧迫感を感じさせません。

各社のタンクレストイレは、日本で唯一の総合的なデザインを評価する賞である「グッドデザイン賞」を多数受賞しています。また、2015年2月に発売されたTOTOネオレストRHタイプは、世界三大デザイン賞の一つ「レッドドット・デザイン賞」を受賞しています。

TOTO タンクレストイレの主な受賞歴

ネオレストEX(グッドデザイン賞-1993年)
ネオレストEX1(グッドデザイン賞-2002年)
ネオレストSD1、SD2、SD3(グッドデザイン賞-2003年)
ネオレストAタイプ(グッドデザイン賞-2006年)
ネオレスト(ロングライフデザイン賞-2009年)
ネオレストRH(レッドドット・デザイン賞-2015年)

LIXIL(INAX) タンクレストイレの主な受賞歴

サティス(グッドデザイン金賞-2001年)
サティス(グッドデザイン賞-2004年)
サティスGタイプ(グッドデザイン賞-2013年)

パナソニック タンクレストイレの主な受賞歴

アラウーノ(グッドデザイン賞-2007年)

トイレ空間の広がり

タンクレストイレを設置するとトイレ空間が広がる、と言われることがあります。確かに、タンクが無く、ローシルエットなので、圧迫感がなくなります。試しに、標準的なタンク式トイレであるアメージュZと、数値で比較してみましょう。

種類 商品名 高さ
タンク式トイレ LIXIL(INAX)アメージュZ 88.8cm(手洗いなしの場合)
タンクレストイレ LIXIL(INAX)サティスS 55.5cm

なんと30cm以上も違います。自動車で全高が30cmも違うと相当高く感じますので、それと同じくらいの違いがあるということだと思います。

続いて、奥行も比較してみます。

種類 商品名 奥行
タンク式トイレ LIXIL(INAX)アメージュZ 76.0cm
タンクレストイレ LIXIL(INAX)サティスS 65.0cm

奥行も10cm以上短くなります。TOTOのネオレストや、パナソニックのアラウーノは、サティスよりも奥行寸法が長いのですが、それでも標準的なタンク式トイレと同等か、若干短くなります。

掃除のしやすさ

タンクレストイレの魅力の一つに、「掃除のしやすさ」があります。当たり前かもしれませんが、タンクレストイレにすると、タンクの掃除は不要になります。

また、一般的なタンク式のトイレは、便器の側面後方部にくぼみ、凹凸があり、ホコリや汚れが溜まりやすいのですが、タンクレストイレの側面はパネルなどで覆われていてほぼフラットなので、タンク式トイレよりも格段に掃除がしやすいです。トイレの側面の床を拭き掃除する時に、タンクの高さが邪魔になって掃除がしにくい場合がありますが、タンクレストイレの場合はローシルエットなので、床の拭き掃除もしやすいです。

ちなみに、便器ボウルや便座の掃除は、タンクレストイレ・タンク式トイレいずれも、グレードによって掃除のしやすさに違いが出ます。価格の高いトイレほど、便器ボウルや便座を汚れにくくする技術や機能の搭載が増え、掃除がラクになる、というイメージです。タンクレストイレだから便器ボウルや便座の掃除がラク、ということではありませんので、ご注意ください。

連続で水を流せる

タンクレストイレは水道直結式のため、連続で水を流すことができます。一方、タンク式トイレは、一度洗浄すると、タンクに水が貯まるまでの間は十分に洗浄はできません。

製品や水圧によるものの、例えばTOTOのタンク式トイレの場合、タンクに水が貯まるまでの時間は、一般的には40~90秒とのことです。

来客が楽しくなる

ご友人や知人を家に招いた時に、「トイレを貸してもらってもいいですか」と言われるのが楽しくなります。

トイレの扉を開けたらタンクレストイレで、フタが自動で空いたり、自動で洗浄したりすると、「あなたの家のトイレ、すごいねー」と言われる確率が高まります。それがきっかけで、トイレリフォームの苦労話やこだわりなどに話が発展し、盛り上がるかもしれません。

ただし、自宅のトイレにここまでお金をかけられるのか、金持ちはいいな、と妬まれる可能性もありますので、注意が必要です。

タンクレストイレのデメリット

最新のウォシュレットに交換できない

タンクレストイレは、ウォシュレット一体型(温水洗浄便座一体型)です。

例えば、ウォシュレット部(機能部といいます)が壊れた場合は、便座だけを購入して交換することができないため、メーカーメンテナンスに修理を依頼して直してもらうか、同じ機能部に交換する必要があります。正規のメーカーメンテナンスとなります。

ウォシュレットの故障が無かったとしても、20年、30年と長期間タンクレストイレを使う場合、今の便座を使い続けることになります。その頃にどのようなウォシュレットが出ているかは分かりませんが、最新のウォシュレットに交換できない点は、タンクレストイレのデメリットの一つといえます。

手洗いが付いていない

タンクレストイレには、手洗いが付いていません。これまで手洗い付きのタンク式トイレを使われてきた方は、ここが非常に迷われる所です。トイレと洗面所が隣接していればまだいいのですが、トイレと洗面所が離れていると、トイレに手洗いが無いのは不便とも言えます。私の家も、トイレと洗面所が離れているので、タンク式トイレの手洗いを使っています。

たかが手洗い、されど手洗いです。ノロウィルスや大腸菌などの感染を予防する意味でも、手洗いは重要です。日本ユニセフ協会発行の「手洗い白書2012(回答者数536人)」によると、トイレを洗うタイミングの第一位が「トイレの後(88.2%)」で、約9割の人がトイレの後に手を洗っているとのことです。

トイレ室内に手洗い器を付けるという手もありますが、トイレリフォームの場合、手洗い器用の給水管・排水管を新設する必要があり、床や壁の取り壊し、補修など、大掛かりな工事となります。特に鉄筋コンクリートのマンションの場合、配管工事が困難なため、工事店に相談しても断られる場合もあります。新築やリノベーションでしたら、単独で手洗い器を付けてもいいかもしれません。おしゃれな手洗い器やカウンターもありますので、選ぶ楽しさがあります。

トイレリフォームの場合、商品価格が高めにはなりますが、既存の給排水管をそのまま利用して手洗い器を設置できるトイレを検討してみるのも手です。以下のトイレであれば、手洗い器用の給排水管を新設しなくても、タンクレストイレと手洗器を設置できます。

  • TOTO ネオレスト手洗器付(ワンデーリモデル)
  • TOTO GG手洗器付(ワンデーリモデル)
  • TOTO レストパルF
  • TOTO レストパル
  • LIXIL(INAX) リフォレ
  • パナソニック アラウーノ専用手洗い

通常のトイレ交換はおおよそ3~4時間程度ですが、上記のように手洗い器も設置できる商品の場合、1日がかりの工事となることがほとんどですので、工事費も通常より高くなります。また、カウンターや手洗い器を設置しますので、トイレスペースの広さも必要となります。

停電時が少し面倒

タンクレストイレは水を流す際に電気を使うため、停電になるとリモコンのボタンでは洗浄ができなくなります。タンク式トイレのように、タンクに貯まった水をレバーで流して洗浄することもできません。

ただ、停電時に全く使えなくなる訳ではありません。手動レバーによる洗浄や、停電用ハンドルなど、最新のタンクレストイレの中には、停電時でも使えるように設計されているものもあります。各商品の停電時の洗浄方法は以下の通りです(2015年5月時点の現行モデルの仕様)。

メーカー 商品名 停電時の洗浄方法(取扱説明書より抜粋)
TOTO ネオレストAH、RH、DH 手動レバーを使用して洗浄します。24時間、約20回の手動便器洗浄が可能です。停電が2日以上継続する場合は、乾電池を装着後、手動レバーを使用して洗浄します。市販の乾電池(アルカリ単3×2個)で、137回以上の手動便器洗浄が可能です。
LIXIL(INAX) サティスG  バケツで水を流して洗浄します。排水後に3~4Lの水をバケツで入れます。
LIXIL(INAX) サティスS、E バケツで水を流して洗浄します。排水後に3~4Lの水をバケツで入れます。尚、別売の停電時便器洗浄キット(CWA-241 4,000円)を購入すれば、トイレ本体の洗浄ボタンで便器洗浄が可能です。  
パナソニック 新型アラウーノ 電源排水5秒押しボタンで排水します(9V角形アルカリ乾電池が必要です)。乾電池がない場合、停電用ハンドルで排水します。排水後に5L☓2の水を入れます。 
パナソニック アラウーノSⅡ 停電用ハンドルで排水します。排水後に5L☓2の水を入れます。 
パナソニック アラウーノV 停電用ハンドルで排水します。排水後に3Lの水を入れます。

ちなみに、1軒あたりの平均停電時間を見ると、東京電力は15分(2013年)、東北電力は19分(2013年)、中部電力は13分(2013年)です。

もちろん今後も長時間停電が無いとは言い切れませんが、断水にならない限り、少し面倒ですが、タンクレストイレを使うことはできると言えます。

水圧には注意

新築、トイレリフォームのいずれにおいても、タンクレストイレを設置する際、水圧には注意しましょう。

タンクレストイレは水道直結方式のため、メーカーが指定する必要最低水圧を満たしていないと、流れが悪くなったり、場合によっては詰まりが発生することもあります。

各メーカーのタンクレストイレの必要最低水圧は以下の通りです(2015年5月時点の現行モデルの仕様)。

メーカー 商品名 必要最低水圧
TOTO ネオレストAH、RH、DH
レストパル、レストパルF
0.05MPa
LIXIL(INAX) サティスG
サティスS(ECO4)
リフォレ(H3,4,5)
0.05MPa
LIXIL(INAX) リフォレ(H1,2) 0.06MPa
LIXIL(INAX) サティスS(ECO5、リトイレ)
サティスE
0.07MPa
パナソニック 新型アラウーノ
アラウーノV
0.05MPa
パナソニック アラウーノSⅡ 0.07MPa
パナソニック アラウーノ専用手洗い 0.10MPa

あくまで目安ですが、0.05MPaの機種であれば基本的にはOKで、0.07MPa以上の機種になると若干怪しいので事前の水圧測定が必要、という感じです。ただし、0.05MPaの機種であっても、絶対に大丈夫ということではありません。戸建ての2階や、マンションの高層階、古い団地などで、まれに、トイレの給水圧が0.05MPaを下回る場合があるようです。

リフォーム会社によっては、0.05MPaの機種だけでなく、0.07MPa以上の機種でも水圧測定をせずに設置してしまう所もあるようですが、メーカーも事前の水圧測定をするようにアナウンスしていますので、事前に測定してもらうことをオススメします。水圧測定冶具は5,000円前後で売っていますので、まともなリフォーム会社や、水道工務店などの水回りのプロなら通常は持っています。スタッフの作業時間や移動時間を考慮すると、事前測定作業は有償になる場合もありますが、必要経費と考えた方がよいかと思います。

タンクレストイレを設置するのに、事前の水圧測定を嫌がるリフォーム会社であれば、そこには工事をお願いしない方が無難かと思われます。万が一、水圧不足が原因で詰まりや、流れが悪くなっても、メーカー側では基本的に対応してくれない可能性が高いので、機種だけでなく、リフォーム会社や水道工務店選びを含めて、ここは慎重に検討しましょう。

タンクレストイレの価格は本当に高い?

「タンクレストイレは高い」というイメージが一般的かと思います。そこで、タンク式トイレと価格を比べてみます。

まずは、TOTOのタンクレストイレ「ネオレストAH1」と、タンク式トイレ「ピュアレストQR」+温水洗浄便座「ウォシュレット アプリコットF3A」の価格を比較します。それぞれ形状は異なりますが、機能面ではほぼ同等です。

トイレの形状 商品名 品番 メーカー希望小売価格(税別)
タンクレストイレ ネオレストAH1 CES9787F 344,000円
タンク式トイレ 合計
ピュアレストQR便器
ピュアレストQRタンク
ウォシュレット アプリコットF3A
CS230B
SH230BA
TCF4711AK
248,100円
(41,000円)
(43,100円)
(164,000円)

定価ベースで約10万円の差があります。確かに高いです。

次に、LIXIL(INAX)のタンクレストイレ「サティスS」と、タンク式トイレ「アメージュZ」+温水洗浄便座「シャワートイレ パッソ」の価格を比較します。こちらも機能面ではほぼ同等です。

トイレの形状 商品名 品番 メーカー希望小売価格(税別)
タンクレストイレ サティスS6 CES9787F 337,000円
タンク式トイレ 合計
アメージュZ便器(ECO4)
アメージュZタンク(ECO4)
シャワートイレ パッソEA14
GBC-Z10ST
DT-Z150T
CW-EA14QC
265,400円
(45,200円)
(46,200円)
(174,000円)

こちらも定価ベースで約7万円の差があります。

まとめ

タンクレストイレは、デザインや清掃性に惚れて即決される方もいるようですが、タンク式トイレと比べて価格が高く、水圧にも注意が必要で、好きな便座(ウォシュレット)に交換ができないといったデメリットもあります。

タンクレストイレ特有の、メリットとデメリットを比較した上で、じっくりと納得いくまで検討されることをオススメいたします。

商品を選ぶ際は、以下のページもご参考にしてみてください。

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