食洗機メーカーの特徴、違いについて

食洗機を新たに設置、または古い機種から交換するときに、いきなり商品選びに入るのではなく、メーカーごとの特徴や違いを理解してから具体的に商品を選んだ方が、効率的で、良い買い物ができるのではないかと思います。

まず、食洗機は、システムキッチンに組み込む「ビルトイン型」と、キッチンカウンターの上に置く「卓上型(据え置き型)」があります。

卓上型食洗機の場合、昔は東芝や日立、象印など複数メーカーが存在していましたが、残念ながら撤退してしまい、今はパナソニック1社のみで、商品ラインナップも5機種しかありません(2017年1月13日時点)。卓上食洗機はメーカーの選びようがないので、この記事では、ビルトイン食洗機の各メーカーの特徴や違いについて記述していきます。

※食洗機は、設置場所によって2つのタイプに分かれます。詳しくは、関連記事『ビルトイン食洗機と卓上食洗機の違いについて』をご覧ください。

本題に入りますが、ビルトイン食洗機のメーカーについて、国内メーカーは3社、海外メーカーは多数あります。

国内の食洗機メーカーは、パナソニック、リンナイ、三菱電機です。TOTO、LIXIL、クリナップなどのシステムキッチンでオプションとして選べるビルトイン食洗機も、これらの食洗機メーカーの製品となります。それでは各メーカーの特徴を見ていきます。

パナソニック

シェアNo.1。資金も多く投入。

食洗機だけのCMを放映し、そのCMに俳優の西島秀俊さんを起用。他メーカーと比べて、ウェブサイトのコンテンツも充実していて、商品のラインナップも豊富です。認知度を上げるための広告宣伝、販促、そして商品開発・生産に、多くの資金を投入している(=力を入れている)食洗機メーカーといえます。

市場シェアでみても、パナソニックが食洗機市場で1位というデータがあります。

食器洗い乾燥機 メーカーシェア
パナソニック60%、リンナイ30%、その他10%
引用元:リフォーム産業新聞 住宅設備建材マーケットデータ(2014年2月25日) 第12回『食器洗い乾燥機』

実際に国内3メーカーの、食洗機ウェブサイト、食洗機カタログ(特に商品のラインナップ)を見比べてみると、力の入れ具合の違いがよくわかるかと思います。

大容量のディープタイプ食洗機

パナソニックには、「ディープタイプ」というタイプのビルトイン食洗機があります。ビルトイン食洗機の標準の横幅は45cmで、庫内容量はだいたい40L前後なのですが、このディープタイプは横幅は45cmなのに庫内容量が60Lと、標準的な食洗機よりも1.5倍大容量となります。

4人家族くらいまでで、一般的な食器を使っている家庭であれば、庫内容量40Lの標準サイズでもあまり不便を感じることはないかとも思いますが、お鍋やボウルなどの調理器具も洗いたかったり、食器の形状がいろいろで、食洗機にセットしずらく、きれいに入れられなかったり、家族の人数が多かったりする場合は、このパナソニックのディープタイプ食洗機はおすすめです。

詳しくは、『食洗機のサイズを選ぶときのポイント』をご覧ください。

幅45cmの大容量タイプは、リンナイからも1機種出ているのですが、こちらはフロントオープンタイプという、扉の開け方が標準(スライドオープンタイプ)とは異なるタイプの食洗機となります。スライドオープンの大容量タイプの食洗機は、パナソニックのディープタイプのみとなります。

※ビルトイン食洗機には扉の開け方によって2つのタイプがあります。詳しくは、関連記事『スライドオープン食洗機とフロントオープン食洗機の違いについて』をご覧ください。

システムキッチンに調和するフル面材タイプ

主に新築や、システムキッチンのリフォーム向けとなりますが、2015年12月に発売されたビルトイン食洗機「K7シリーズ」は、フル面材仕様といって、システムキッチンのドアと同じ色の面材をはめ込めば、食洗機を閉じた時にシステムキッチンと一体化して、食洗機が目立たなくなるという特徴のある機種です。

一見、普通のキッチン収納のように見えて、実は食洗機だったという感じになります。システムキッチンから食洗機の存在感を消した方がいいのか、それとも海外メーカーに多いデザイン性の高い食洗機(価格も高いですが・・)を入れるのがいいのか、これはデザインの好みによりますが、パナソニックとしては、食洗機単体のデザイン性を追求するのではなく、システムキッチン全体のデザインに調和する(存在感をなくす)という、海外メーカーとは異なる方針で商品を開発した、ということかと思います。

まるで収納キャビネットと思わせるような、このフル面材タイプの食洗機も、ディープタイプと同様に、パナソニックからしか出ていません。

勝手に節水・節電してくれる「エコナビ」

エコナビ(ECONAVI)という名前を目にしたり、耳にされたことのある方も多いかと思います。ナビとあると、カーナビのようにユーザーに何かを教えてくれるようなものをイメージしがちですが、エコナビは、勝手にセンサーが温度や物量などを調べてくれて、その温度や物量に合うように家電を動作させるという、パナソニックの省エネ機能となります。パナソニックの冷蔵庫、エアコンなどにも搭載(機種による) されています。

このエコナビは、食洗機の省エネにも活かされています。上位機種の「K7シリーズ(先程のフル面材タイプ)」「M7シリーズ」に搭載されているエコナビは、食器の汚れ具合、食器の量、室内の温度の3つをセンサーが調べて、例えば汚れが少ないときはすすぎの回数を少なくしたり、食器の量が少ないときは加熱すすぎの温度を下げたり、乾燥時間を短くしたり、室温が高いときはヒーターの加熱を抑えたりと、これらを自動で判断し、節水・節電しながら食器を洗ってくれるという機能になります。

食洗機は、標準コース以外にも複数の運転コースを自分で選べるようになっていますが、商品を購入し、取り付けて、いざ使おうと取扱説明書を読む段階で、食器の量が少ない時は「少量コース」、汚れがひどい時は「強力コース」を選ぶのだと、ここではじめて運転コースの使い分け方や、それぞれのコースの運転時間を知る方が多いのではないかと思います。商品を選ぶ段階で、機種ごとの運転コースの使い分けや運転時間まで理解していたら、かなりの玄人です。

運転コースは、メーカーによって、「標準」「強力」「念入り」「パワフル」「スピーディー」「少量」「節電」「節水」「低温」など、名称がさまざまです。同じパナソニックでも、機種によっては「強力」「パワフル」と名称が違ったり、「スピーディー」と「少量」が選べる機種もあります。これらの運転コースを使い分けると、運転時間や汚れの落ち具合が変わることまではわかるのですが、どの程度省エネになるのかはよくわかりません。

その意味でも、運転コースを豊富に用意し、さあ選んでください、というやり方よりも、エコナビのように、食器の量や汚れ具合で、お任せで勝手に洗い方を判断してくれる(そして省エネできる)機能の方が、使う側からするとありがたいと思います。

大事な点として実際どのくらい省エネなのか、という所ですが、メーカーカタログ値で比較すると、幅45cmミドルタイプの標準的な食洗機はだいたい使用水量が10Lですが、エコナビ搭載のM7シリーズミドルタイプだと通常で8L、エコナビ運転で最大の効果で、6.5Lとなります。かなり節水できることがわかります。

上かごを左右にスライドできる「ムービングラック」

標準的なスライドオープン型の食洗機は、下かごに食器を入れやすくするために、上かごを取り外したり、跳ね上げたりできます(機種により異なる)が、どうしても入れる順番としては「下かご → 上かご」となってしまいがちです。
パナソニックの「K7シリーズ」「M7シリーズ」「V7シリーズ」「キッチン奥行60cm対応機」に搭載されているムービングラックは、その名の通り、上かごを左右にスライド移動させることができます。先に上かごにコップなどを置いてしまっても、後から下かごに食器を入れやすくなるので、便利です。

特徴と選び方

ビルトイン食洗機の新規設置・交換を検討されている方向けに、パナソニックのビルトイン食洗機の特徴と選び方を紹介した記事もあります。よろしければご覧ください。

関連記事:『パナソニック ビルトイン食洗機<特徴と選び方>

リンナイ

国内唯一のフロントオープン食洗機

リンナイのビルトイン食洗機の特徴といえば、なんといっても、フロントオープン食洗機「F402シリーズ」です。

大容量のフロントオープンタイプの食洗機は、海外メーカーに多いですが、国内ではリンナイの1機種のみとなります。以前はハーマンの「FB4504Pシリーズ」というロングセラーモデルがあったのですが、残念ながらハーマンが食洗機から撤退してしまいました。

海外製のフロントオープン食洗機は、容量が大きく、デザイン性が高いですが、価格も高いので、暮らしにかなり余裕がある方を除くと、一般的にはなかなか手が出せない代物です。お手軽にフロントオープンタイプを使いたい場合は、このリンナイのF402シリーズがおすすめです。

※ビルトイン食洗機には扉の開け方によって2つのタイプがあります。詳しくは、関連記事『スライドオープン食洗機とフロントオープン食洗機の違いについて』をご覧ください。

最もコンパクトな食洗機

ビルトイン食洗機の横幅は、45cmか60cmの2つしかありませんが、奥行きは機種によってサイズがさまざまです。現行ラインナップの中では、リンナイの「RSW-C401C(A)-SV」という機種が、奥行き約59cmと最もコンパクトです。標準的な機種の奥行きは、62~63cmくらいあります。

たった3~4cmの違いなのですが、奥行60cmが主流だった古いシステムキッチンや、収納キャビネットに空きがないためシンクの下に食洗機を入れたい場合に、標準的な機種だと奥行きが足らずに入らないケースがあります。そのような現場において、奥行きがコンパクトな「RSW-C401C(A)-SV」が使われることがあります。

パナソニックの「NP-45MC6T」という機種も、奥行き60cmのシステムキッチンには対応していますが、ディープタイプの深型大容量で高さがあるため、シンク下には入りません。

食洗機庫内を除菌する「プラズマクラスターと銀イオン」

食洗機庫内のカビやニオイに注目しているメーカーはリンナイです。

プラズマクラスターは、食器を洗った後の乾燥段階で、食器に当てる温風をプラズマクラスターがきれいにして、清潔に乾燥させる、という機能になります。食洗機の運転完了後も、電源をOFFにするまで、プラズマクラスター運転が続き、洗った食器を食洗機の庫内で清潔に保管できます。

銀イオンは、銀イオンカートリッジを食洗機庫内に取り付けて、洗浄やすすぎの時にカートリッジの中にある銀イオン(銀を含んだ抗菌剤のタブレット)が溶けて、食器や食洗機庫内を抗菌コートする、というものです。銀イオンカートリッジの交換目安は約2年で、1個2,000円(税抜)します。R.STYLEというリンナイのウェブショップで購入できます。

食洗機のメリットの一つとして、食洗機メーカーや洗剤メーカー、販売店などがアピールしているのは、スポンジやふきんには菌が付着しやすいが、食洗機なら高温で洗浄・すすぎ・乾燥するので、手洗いよりも清潔に洗えるというものです。これは正しいとは思うのですが、肝心の食洗機庫内のカビ、菌の付着については、あまり触れられることがありません。

おそらく、雑菌は高温域では繁殖しにくいので、毎回庫内が高温になる食洗機は、雑菌が増殖しにくい、ということかと思うのですが、リンナイが、プラズマクラスター技術による付着カビ菌の増殖抑制効果や、銀イオンカートリッジによる除菌効果について少なからずアピールしていることからも、食洗機庫内にも菌がいるものと推測されます。実際に、クリーナーで庫内洗浄せずに食洗機を10年ほど使うと、正直、ニオイも見た目も、清潔とはいえない感があります。

定期的に庫内専用クリーナーで掃除する手もありますが、それが面倒な方は、プラズマクラスターや銀イオンカートリッジに対応した機種を検討されてもよいかもしれません。

上位機種の「RSW-404LP」はプラズマクラスターと銀イオンカートリッジに、「RSW-404A」は銀イオンカートリッジに対応しています。

重曹洗浄

食洗機は、食洗機専用洗剤を使って食器を洗いますが、リンナイの上位機種「RSW-404LP」は、唯一、食洗機専用洗剤以外に、重曹を使って洗える機種です。ちなみに、重曹洗浄モードを搭載した機種は、 2008年に「RKW-402L」という機種が発売されているので、ロングセラーの機能といえます。

ただ、発売当初と比べると、重曹洗浄に対するメーカーの力の入れ具合(アピールの度合い)が下がっていて、今はフロントオープン食洗機「F402シリーズ」を全面に押している印象があります。重曹モードの場合、食洗機の特徴でもある高温洗浄ができず、低温での洗浄となるため、通常よりも時間がかかります。低温で洗浄すると、どうしても油汚れなどは落ちにくくなりますし、この辺りがメーカーのトーンが下がってしまった原因ではないかと推測します。

破格に安い機種がある

いつまでこの価格が続くか分からないのですが、各販売店から、破格に安く売られている機種があります。最新のリンナイ食洗機カタログ(2016年度Ⅱ)には掲載されていないのですが、「RKW-404A-SV」という2015年2月に発売された機種です。現行機種の「RKW-404A-SV」とほとんど仕様が同じです。

●「RKW-404A-SV」は、36,780円(※1)
●「RSW-404A-SV(現行機種)」が、78,211円(※1)
(※1)2017年1月13日時点。価格.com最安店の販売価格。税込。

ほぼ同じ仕様で、4万円も差があるとすれば、404Aシリーズを狙っている人は、現行機種を買う理由は見当たらないように思います。

パナソニック・リンナイ・三菱電機の全ラインナップを見ても、「RKW-404A-SV」は破格に安いです。

特徴と選び方

ビルトイン食洗機の新規設置・交換を検討されている方向けに、リンナイのビルトイン食洗機の特徴と選び方を紹介した記事もあります。よろしければご覧ください。

関連記事:『リンナイ ビルトイン食洗機<特徴と選び方>

三菱電機

静音設計

食洗機を動かす時の音というのは意外とするもので、人によって違うのでしょうが、静かな時などは結構気になります。そこはメーカーも心得ていて、音の大きさをデシベル(dB)で比較して、図書館よりも静か、とさりげなくアピールをしています。ただ、使用実感は、図書館の静かさとはほど遠い印象です。洗浄、乾燥などの工程によっても運転音は異なりますが、ゴーゴーとうるさい時もあります。

図書館より静かか、というテーマは置いておいて、どのメーカーが静音設計に(比較的)優れているかで見ると、三菱電機に軍配が上がります。

パナソニックは、上位機種のK7シリーズ/M7シリーズ(ミドルタイプ)が36~37dB、V7シリーズ(ミドルタイプ)は40dB、一番安いR7シリーズ(ミドルタイプ)は42dB。

リンナイは、42~44dB。

一方で、三菱電機の上位機種「EW-45L1SM」は34.5dB。この機種が静音設計に最も優れた機種となります。その他の機種も36~37dBと優秀です。

勝手に節水・節電してくれる「おまかせエコ」

パナソニックの「エコナビ」と同じような省エネ機能が、三菱電機の「おまかせエコ」です。上位機種の「EW-45L1SM」「45H1シリーズ」に搭載されています。

おまかせエコは、食器の汚れ具合、食器の量をセンサーが調べて、例えば汚れが少ないときはすすぎの回数を少なくしたり、食器の量が少ないときは、洗い・すすぎ時間を短くしたりと、これらを自動で判断し、節水・節電しながら食器を洗ってくれるという機能になります。

パナソニックのエコナビをそのまま使っているのでは?と勘ぐってみたくなるほど機能が似ていますが、細かく比較すると、パナソニックのエコナビは室温センサーが室温を感知し、室温が高いときはヒーターの加熱を抑えますが、三菱電機のおまかせエコには室温センサーはありません。

室温センサーがない一方で、おまかせエコには、汚れを見分けるためのセンサーを2つ内蔵していて、光の透過度で洗浄水のにごり具合を調べる「光学センサー」と、2本の電極で目に見えにくい汚れを調べる「電極センサー」の2種類があります。エコナビには電極センサーはありません。

メーカーカタログ値で比較すると、幅45cmミドルタイプの標準的な食洗機はだいたい使用水量が10Lですが、おまかせエコ運転だと、最大の効果で、7.5Lとなります。エコナビと同じように、かなり節水できることがわかります。

さいごに

食洗機の機種別の評価については、『食洗機いろいろランキング』にまとめております。

新しい食洗機への交換を検討されている方は、『食洗機の取り付け業者を選ぶときに注意したいこと』の記事もご参考になるかと思います。よろしければご覧ください。

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